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【地域おこし協力隊入門】応募する前に知っておきたいこと

 こんにちは、しまね協力隊ネットワークの西嶋です! 突然ですが、「地域おこし協力隊」って知っていますか? 地方創生や移住に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この記事では、地域おこし協力隊入門として制度について紹介していきます。 地域おこし協力隊への応募地方移住を考えている方や、地方創生に関心がある方はぜひお読みください。


都会から田舎へ人材を呼び込むための制度

 地域おこし協力隊は、人口が集中しすぎている都市部から、過疎が進む地方へ人材を呼び込む地方創生の取り組みです。総務省の制度で、2008年から始まり、2023年度には全国で約7200人の地域おこし協力隊員(以下、隊員)が活躍しています。
 人口が減って困っている地域のために、都会から課題解決に取り組んでくれる人を呼び込むための制度です。そのため協力隊に応募するには、都会から田舎へ住民票を移動させることが条件となります。東京や大阪からの応募はもちろん、同一県内でも都市部から過疎地域への応募であれば認められる場合もあります。この地域要件は少々判断が難しいので、気になる方は現在の住民票を置く地域からで応募が可能かどうか候補先自治体の担当者に相談してみることをオススメします。また応募にあたっては、住民票を移すタイミングなども確認しておくとよいでしょう。
 総務省の地域おこし協力隊の概要説明をみると、「住民票の異動」と「地域協力活動」を行うことが条件となっていることがわかると思います。

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。

総務省「地域おこし協力隊」より 


制度は総務省でも、実施主体は市町村

 さて、ここから少し難しくなりますが、大事なポイントなのでしっかり理解していきましょう。前述のように地域おこし協力隊は総務省の制度なのですが、実際に地域おこし協力隊を募集し運用するのは各市町村です。地域の困りごとや置かれている状況は、市町村によって異なるので、隊員のミッション、待遇、サポート体制も実はまちまちです。
 よって隊員は総務省が一括採用して地方へ派遣するわけではありません。市町村が独自に募集し、その個別の募集に対して希望者が応募するということです。地域おこし協力隊になりたい人が「この地域でこういうことをしたい!」と希望しても、そのやりたいことに対応する募集がなければマッチングしません。あくまでも実施主体は各市町村であり、地域おこし協力隊は公金によって運用される公益性が求められる取り組みだということは押さえておきましょう。(ちなみに隊員の募集を行っているほとんどは市町村といった基礎自治体なのですが、都道府県が募集をする場合があります)

報酬はどのくらい? 

 さて、応募にあたって気になるのは報酬です。以前は報償費が年最大200万円(1ヶ月あたり16万6千円)、活動費(*1)が年最大200万円でした。結構厳しいですが、フルタイムではなく月17日勤務であったり、副業が認められていたり、各市町村による運用の工夫で生活費程度の金額となっていました。
 現在でも同じくらいの水準で制度運用しているケースも多いですが、制度的には報償費は年320万円〜最大年420万円(専門性の高いスキル等を要する高度専門人材の場合)までと上限が変わりました。ただ報償費の金額を含め、制度をどう運用するかも各市町村次第なので、各募集の条件面をしっかり確認してみてください。報酬は多めだけれど、フルタイム勤務を求められるケースもあります。

*1 活動費…隊員の活動に要する経費を市町村から認められた場合に活用できる費用

地域おこし協力隊って公務員なの? 社会保険は?

 地域おこし協力隊は公金を使って運用されるので公益性が求められる、と書きましたが、隊員は公務員なのでしょうか。実はこれも各募集によって異なります。市町村と雇用関係がある場合は、以前でいう嘱託職員、現在は会計年度任用職員という非正規の公務員となります。ですので地方公務員法も適用される一方、社会保険などもつき、ボーナスの支給もあります。
 一方で、近年増えているのが個人事業主として、市町村から業務を委託されるパターン。市町村と雇用関係がないので、公務員ではなく自由度はあがりますが、社会保険は自分で加入し、確定申告を行う必要があります。
 さらに市町村の雇用ではなく、観光協会や農業法人、まちづくり団体などに雇用されるケースもありますが、こちらの条件は各団体に拠ります。
 ちょっとマニアックになってきましたが、募集によって前提条件がかなり違うんだ、市町村へ事前に確認する! と理解すればOKです。

活動任期は最長3年間、限られた時間で次の道をつなぐ

 地域おこし協力隊の任期は1年ごとの更新で、最長3年まで延長できます。この3年間が意外と短く、あっという間に過ぎてしまいます。地域や仕事現場への挨拶回りや関係づくりに動く1年目。やっと何をすればいいか自分の仕事に手がつきはじめる2年目。そして任期満了後の準備を急ピッチで進める3年目といったイメージです。
 全てがうまく進んでも時間が足りないところですが、当初想定していたことと、直面する現実とのギャップで、計画変更することは何度もあります。正直入ってみないとわからないことばかりではありますが、少なくとも自分は隊員となって何がやりたいか、ということは方針を立てて応募を検討するのがオススメです。
 募集についても、市町村に協力隊任期満了後のイメージを事前に尋ねたり、自分の描いた計画を直接相談するのもアリです。

自分のやってみたいことを整理し、最適な募集をみつけよう!

 さて、ここまで地域おこし協力隊制度について解説をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。とにかく各市町村によって、かなり条件が異なることをお伝えできていれば幸いです。同じ市町村でも、雇用関係のありなしが混在していますのでご注意ください。
 こういった条件を把握したうえで、地方へ移住する場合の一つの選択肢として地域おこし協力隊をぜひ検討してみてください。隊員として入れば、最長3年間の活動期間は手に入りますし、隊員という立場を活用して地域のいろんな方と関わることもできます。
 単純な就職先とみると、条件は必ずしもよくありませんが、地域へ入って何かしようという方にはとても面白い制度であることは間違いありません。また任期満了後は起業のイメージが強いかもしれませんが、民間企業へ就職したり、行政へ入ったり、地域を離れても関係人口として関わるといったことも選択肢となります。
 自分が地方移住をする目的はなんなのか。起業準備か、地域の活性化か、繋がりづくりか、就農か、子育てか…。優先順位がはっきりしていれば隊員募集の選び方も絞れてきますし、場合によっては地域おこし協力隊以外の選択肢も見えてくるかもしれません。
 もしご縁があれば、ぜひ島根で地域おこし協力隊ライフはじめてみませんか?

しまね地域おこし協力隊 募集情報

このnoteで運営している島根県の地域おこし協力隊の現在の募集情報をまとめたマガジンです。島根県内の市町村と連携して、募集がタイムリーに閲覧できるので今まさに応募できる島根の地域おこし協力隊情報へアクセスできます。

地域おこし協力隊/ニッポン移住・交流ナビ JOIN

一般社団法人移住・交流推進機構が運営する「ニッポン移住・交流ナビ JOIN」の「地域おこし協力隊」特設ページ。全国の地域おこし協力隊の募集情報を検察・閲覧できます。隊員のミッション、労働環境や待遇、あるいはサポート体制などを比較検討することができるので、興味のある分野や地域で検索をかけるのがオススメです。


この記事のライター
西嶋一泰(にしじま・かずひろ) 一般社団法人しまね協力隊ネットワーク副代表理事/総務省 地域おこし協力隊アドバイザー/島根県立大学地域政策学部講師/島根県大田市地域おこし協力隊OB(2016年7月〜2019年6月)