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【地域おこし協力隊入門】よくある質問と回答Q&A

今回は地域おこし協力隊に興味がある方、検討している方によく聞かれる質問をQ&A形式でまとめてみました。地域おこし協力隊制度は、わかりにくいことも多いので、この記事が皆様の理解の一助になれば幸いです。


Q 地域おこし協力隊って公務員なの?

A 公務員である場合と、公務員でない場合があります

①自治体と雇用関係がある場合は公務員(会計年度任用職員)です。
②自治体からあなた個人に業務委託をする場合は公務員ではありません。
③会社や団体に雇用される場合も公務員ではありません。
地域おこし協力隊の雇用形態はこの3つのうちいずれかです。どの雇用形態かは市町村の各募集ごとに異なりますので、詳しくは募集条件をご確認いただいたり、市町村へお問い合わせください。公務員ではない場合もありますが、地域おこし協力隊は税金により推進される事業であるため、いずれの場合も公益性が求められることは頭に入れておきましょう。

会計年度任用職員は、以前でいう嘱託職員です。地方公務員法が適用され、各自治体の服務規定を守る必要があります。副業のできる/できないも事前に確認しておくとよいでしょう。


Q 協力隊って年齢制限はあるの?

A 地域おこし協力隊に年齢制限はありません。
ただし、自治体独自で年齢制限を設けている場合もあります。

総務省の地域おこし協力隊制度に年齢制限の項目はありません。ただし、制度の実施主体はあくまで各市町村です。各市町村が募集に応じて年齢を制限している場合があります。詳しくは各募集情報をご覧ください。

地域おこし協力隊員の年齢は20代〜30代が確かに多いですが、50代〜60代の隊員も増えてきています。総務省もシニア層の地域おこし協力隊への参加を呼びかけているところです。ご自身の年齢で応募していいか気になる場合は、一度各自治体の地域おこし協力隊担当に相談してみることをオススメします。


Q その地域出身の人はなれないの?

A 出身者(Uターン)でも地域おこし協力隊になれます。
問われるのは地域おこし協力隊になる直前の住民票がある場所です。

地域おこし協力隊は、都会から田舎へ人材を誘致する政策です。すでに田舎に住んでいる人が応募することはできませんが、問われるのは移住直前の住民票記載の住所です。よって現在は都会で暮らすその地域の出身者の方が、Uターン移住し、地域おこし協力隊になるのは問題ありません。


Q 地域おこし協力隊になる条件は?

A 応募条件は各市町村の募集によって異なります。
 共通するのは都会から田舎への移住が条件です。詳しくは後述。

先ほども書きましたが、地域おこし協力隊は、都会から田舎への人材を誘致する政策ですが、どこからが田舎で、どこからが都会かは詳しく確認する必要があります。例えば島根県の県庁所在地の松江在住であれば、同じ島根の山間部や離島地域へ応募が可能な場合があります。この地域要件は少々複雑なので、詳しくは各市町村の地域おこし協力隊担当にお問い合わせください。

ご自身で調べたいという場合には、総務省の「地域おこし協力隊及び地域プロジェクトマネージャーの地域要件について」および「地域おこし協力隊及び地域プロジェクトマネージャーの特別交付税措置に係る地域要件確認表」という資料に詳しく掲載されていますので、ご確認ください。


Q 活動費200万円は自由に使えるの?

A 活動費が隊員個人の判断で自由に使えることはありません。
 自治体や受入先の担当者と活動費の使い方を確認、相談しましょう。

地域おこし協力隊の活動費200万円ですが、隊員にポンっと渡されるわけではありません。基本的に地域おこし協力隊の実施主体は自治体(市町村)です。自治体が地域おこし協力隊事業の推進に必要と判断した予算が事前に計上され、年度の予算内で使い道の正当性を確認しながら執行されていくものです。200万円がフルに計上されていない場合もありますし、隊員が活動するにあたっての環境整備で使われている場合もあります。

さらに任期中の予算で買った設備やものは自治体のものとなるため、任期後も引き続き使えるかどうかも自治体や担当者と細かく相談していく必要があります。

地域おこし協力隊の活動費は税金なので公益性を担保するための使い方のルールがあることを心得ておくとよいでしょう。予算の使い方の相談は、着任前でも、活動中でも各自治体の担当者に相談してみるのもありです。


Q その地域に移住する手段として協力隊を使ってもいいの?

A 地域おこし協力隊に求められる活動内容を行えるのであれば問題ありません。ぜひ移住の手段の一つとしてご検討ください。

「地域おこし協力隊の制度をもともと知らなかったけれど、ある地域への移住を検討していたら、担当者から案内され、条件が合ったので応募した」という方も多いです。求められる活動内容やミッションを行なってもらえるのであれば、ぜひ応募してほしいという地域がほとんどではないでしょうか。詳しくは各市町村の担当者にぜひご相談ください。


Q 移住失敗やミスマッチが怖いです。どうすればいい?

A 事前の情報収集を行いましょう。ただし、募集締め切りもあるので、応募には決断も必要です。

自治体の担当者に今回の募集について聞き、現地を訪問し地域側や受入側にも同様のことを聞いてみて、隊員の受け入れについて目線合わせができているかは1つの注目ポイントです。いわゆる地域おこし協力隊の「ミスマッチ」は自治体と地域でコミュニケーションがとれていなかったことが原因となる場合が多いからです。

またその地域にすでに移住している人や、先輩の地域おこし協力隊に話を聞いてみるのもよいでしょう。インターネット上にインタビュー記事や連絡先が示されている場合も多いので、そういった方々から地域のリアルな情報を聞くこともできます。

ただし、地域おこし協力隊の募集は、各募集に締め切りがあり、万全に準備して申し込むことが必ずしもできるわけではありません。入ってみないとわからないことも多いです。タイミングや条件などを考慮しながらも、最後はご自身で決断する必要があります。

Q 任期後はその地域に定住しないといけないの?

A 任期後は定住が望まれるケースが多いですが、最終的には個人の判断です。

地域おこし協力隊は都会から田舎への人材誘致の政策であるため、成果指標の1つとして隊員の定住率があげられるので、自治体や地域も隊員に定住してほしいという想いはもっています。とはいえ、任期後に安定した収入が見込めるかや、ご自身のキャリアに関わることでもあるので、定住するかどうかは、最終的にはご自身の判断です。

たとえ定住しなかったとしても、地域との関係を続け、機会があれば地域外から応援していく「関係人口」となるのも一つの選択肢です。また地域おこし協力隊というと起業が注目されますが、地元企業への就職をして定住するケースもあります。また着任地でなくとも、近隣の自治体に住むケースなども一定数あります。任期後どうするかについても、自治体の担当者や受け入れ地域などと相談しながら検討していくとよいでしょう。


Q 地域おこし協力隊の募集情報ってどこを見ればいいの?

A 全国の地域おこし協力隊の募集情報が掲載されているのは、「ニッポン移住交流ナビJOIN」です。島根県の場合は、このnoteの「募集情報マガジン」をご覧ください。

地域おこし協力隊の募集情報は、広く一般に募集をする場合はJOINに掲載する場合がほとんどです。最も多く地域おこし協力隊の募集情報が掲載されているサイトなので、条件や活動内容の比較にも役立ちます。島根県は19市町村と連携し、このnoteの募集情報マガジンに募集情報を集約していますのでぜひご参照ください。その他、ターゲットを絞って募集される場合は必ずしもオープンにならず、自治体のWebサイトでのみ掲載されるケースもあります。

地域おこし協力隊の募集時期はバラバラです。自治体内での調整が出来次第、募集をかけるケースが多いので、小まめにサイトをチェックし、興味がある自治体の担当者に今後出てきそうな募集がないか相談するなど、見逃さないようにしておきましょう。


Q自分で提案して地域おこし協力隊になれないの?

A 基本的に希望者からの提案で、自治体が地域おこし協力隊事業を行うことはありません。例外として、「提案型」の地域おこし協力隊を募集している自治体に相談することはできます。

地域おこし協力隊制度の実施主体はあくまで自治体であるため、基本的に希望者の提案によって事業が始まることはありません。ただし、活動内容やミッションを提案してほしいという条件で募集している「提案型」の地域おこし協力隊であれば相談してみてもよいと思います。また、希望者の熱意やスキル、自治体や地域の課題とのマッチング度合いによっては、自治体が予算化を検討する場合もありますが、ほとんどないケースです。

地域おこし協力隊は公益性が求められます。そのために活動や予算の使い方の制限やルールもありますので、自由に動いて自分の理想を実現したいという場合は地域おこし協力隊制度を使うのではなく、個人で動いたほうがいいケースも多いです。自分がどちらに当てはまるかはぜひご検討ください。


Q地域おこし協力隊に産休や育休はあるの?

A 給与は出ませんが、出産や育児による活動の中断は認められています。最長1年間です。

活動の中断期間は、最大3年間の任期に含まれません。詳しくは、総務省の「地域おこし協力隊員の育児等に係る活動中断期間の財政措置について」をご参照ください。

ただし、このあたりの運用も各自治体によって異なるので、自治体の担当者に相談する必要があります。



よくイベントなどでいただく質問をまとめてみました。参考にしていただきながら、色々と情報収集したり、現地に行き、その土地の雰囲気を感じて検討してみてください。

この記事のライター

西嶋一泰(にしじま・かずひろ) 一般社団法人しまね協力隊ネットワーク副代表理事/総務省 地域おこし協力隊アドバイザー/島根県立大学地域政策学部講師/島根県大田市地域おこし協力隊OB(2016年7月〜2019年6月)