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【地域おこし協力隊入門】地方移住を考えてみる

都会から田舎へ「移住」を考えたことはありませんか? 「移住」までいかなくても、ときどき帰れる第2の故郷のような場所をお探しの方もふくめ、地方移住に興味がある!という方に田舎暮らしのリアルをお届けします。


ステップ1 自分が地方に求めるものは?

「地方移住」といっても、どんな暮らしを送るか、選択肢は様々です。「がっつり農業がしたい」、「転職はせず、リモートで仕事を続けたい」「地域づくりを手伝いたい」「実家に帰る」など条件も人によって様々。求めるものによって、移住先や移住のしかたも変わってきますので、自分の中の条件をはっきりさせてみましょう。地域おこし協力隊も選択肢の一つですが、条件次第では転職や就農といった道もあります。

ステップ2 情報収集をしよう!

理想の地方移住にむけて、なんとなく条件がみえてきたら、情報収集をしてみましょう。今、地方の各団体では移住者向けに様々な情報提供の窓口を用意しています。島根でいえば「くらしまねっと」を見ておけば間違いなしです!

くらしまねっと」は、公益財団法人ふるさと島根定住財団が運営する移住情報のポータルサイトで、ここから各市町村の情報にもアクセスでき、仕事、住まいの情報、様々な支援制度や体験プログラムも掲載されています。もっと条件が絞れていれば、市町村の移住情報サイトも参考になります。

ただ移住に関する情報は、多岐に渡るので全部を把握するのは難しいです。そんなときは、直接相談してみましょう。島根でいえば、東京、大阪、広島に島根県の移住相談窓口があり移住相談ができ、オンライン相談も受け付けています。また、東京や大阪で開催される移住フェアには、各市町村の担当者、移住をサポートしてくれる人たちに直接話を聞く機会にもなっています。いずれも相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

地域おこし協力隊の募集をみながら、どの地域へ行くか考えてみるというのも一つの方法です。地域おこし協力隊には、ミッション(任務)と呼ばれる活動目標が設定されている場合が多く、その内容は多岐に及びます。多様な仕事内容、魅力的な地域資源、条件のよさ、人とのつながり、様々な角度から募集情報をみてみるとよいでしょう。より多くの情報を得ようと思ったら、ニッポン移住・交流ナビ JOINの地域おこし協力隊の募集ページで検索をしてみましょう。全国の地域おこし協力隊の募集情報をみることができます。活動内容や条件で絞り込んで検索することができます。

また、島根県の地域おこし協力隊の募集情報はnoteのマガジンにもまとめてありますので、こちらもぜひみてみてください。

島根県内の地域でどのような活動をしているか調べてみたくなったと思います。そんなときには、しまね関係人口マッチング・交流サイト「しまっち!」を見てみてください!

このサイトは、島根のいろいろな関わりを持つ「関係人口」と呼ばれる人たちと、島根の地域団体を繋ぐポータルサイトです。地域の人たちがオーナーとなり、サポーター(協力者)を募集するプログラムを掲載しているので、「あなたらしい」島根と関わり方をきっと見つけることができます。

ステップ3 移住後の家と暮らしを考えよう

移住の条件を整理して、情報収集を始めたら、自分の中で移住後の暮らしのイメージを育てていきましょう。たとえば住まいは悩みどころです。
田舎暮らしといえば、畑付きの古民家を思い浮かべることもあるかもしれませんが、暮らしの方向性が固まる前に家を決めるのはリスクが高いと思われます。まずは古民家や空き家でも賃貸のもの、あるいはアパートや自治体が管理する定住促進住宅(※1)から始めてみるのもありでしょう。

※1定住促進住宅 移住者などを対象に地域に定住することを目的とした賃貸住宅。用意のある市町村・ない市町村や、名称や内容・条件などは市町村により異なります。

「都会に比べて、地方はお金がかからない」と言われますが、必ずしもそうではありません。安いのは、空き家などの中古物件の購入費(土地建物込みで100万円の物件もよくあります)や、産直の野菜や魚。それ以外の、光熱費、車の維持費、日用品の物価などは意外と高いです。

光熱費は地域や家によっても異なりますが、人口減少により水道費の負担率があがっていたり、都市ガスよりもやや高いプロパンガスしか選択肢になかったり、寒冷地では断熱のきかない一軒家だとクーラーや暖房費がかなりものになります。

車も1人1台ほしいところです。電車やバスなどの公共交通機関の便が限られており、自分が行きたいところに自由に行こうとすると、車が必要になります。町の中心部に住めば車なしでも生活できますが、各地のイベントへの参加や、カフェめぐり、友達づくりなども車があればより広範囲に動くことができます。ただし、島根では冬は雪が降るので冬用タイヤの着用が必要となり、維持費はさらに上がってしまいます。

こういったことを頭にいれて、多少家賃が高くても車なしで生活できるまちの中心部に住むか、家賃が安く家も広いが車が必ず必要な田舎に家を構えるか、が改めて問われます。給与水準も都会と比べると低くなるので、家計の収入・支出のバランスを検討することも必要です。こうして、より具体的なイメージを持つことで、移住後の暮らしがみえてきます。収入支出のシミュレーションには島根県中山間地域研究センターが開発している「田舎暮らし設計」がオススメです。必要事項を記入するだけで簡単に移住後の家計状況がシミュレーションできます。

ステップ4 改めて地域おこし協力隊を移住の選択肢に!

いろいろな移住の条件を検討してきましたが、ここで改めて地域おこし協力隊を移住の選択肢として検討してみましょう。地域おこし協力隊の主なメリットは以下のとおりです。

地域おこし協力隊の主なメリット
・仕事を通じて地域の方々や面白い人たちと繋がれる
・任期は最長3年。報酬を受け取りながら、地域を知ることができる。

活動内容にもよりますが、地域おこし協力隊は、まず今この地域にはどんな人がいるのか、繋がりをつくっていくのが仕事の大きなポイントです。地域の方々にお世話になりながら、地域協力活動を通じて、初めての土地でも人脈をつくっていけます

また、任期終了のタイミングで暮らしを仕切り直すことも可能です。地域や暮らしがより見えてきたタイミングで、空き家を買って本格的に腰を据えて地域へ入っていく隊員も多いです。

地域おこし協力隊について気になった方は、【地域おこし協力隊入門】応募する前に知っておきたいこともお読みください。

地方移住の決断は、最終的にはあなた次第。万全を期していてはタイミングを逃すこともあります。都会での自分自身の状況を考えた結果、ピンときた土地へ思い切って移り住む人もいます。ぜひご自身が納得する移住や地域との関わり方をご検討いただければ幸いです。

この記事のライター

西嶋一泰(にしじま・かずひろ) 一般社団法人しまね協力隊ネットワーク副代表理事/総務省 地域おこし協力隊アドバイザー/島根県立大学地域政策学部講師/島根県大田市地域おこし協力隊OB(2016年7月〜2019年6月)